報告場所

主に生存報告を行う場所

旅人は夢の果てに何を見るのか

年々涙腺が枯渇している。そう簡単に涙を流さなくなってしまった。

だが、

 

 

これだけは別なのである。

FFXを初めて攻略したのはいつだったか。きっと中学生の時だったと思う。

当時、子供ながらに、悲しい話だなあ、と感傷に浸っていた。

しかし、この物語のエンディングは、年をとる毎に、直視するのが辛くなってくる物語の代表作と言っても過言ではなかろう。

すべて解決し、ハッピーエンド、

でも

無闇矢鱈に理由をつけ、にキーマンを消し、涙を誘う、

でもない。

FFXの世界の機構上、シンを倒した後のこのエンディングは不可避であり、初めから決められていたものなのだ。この、マクロ的に幸せをもたらし、ミクロ的には哀しみを抱える結末、というのは過去に例を見ない。

主人公があの結末を迎え、最後、ユウナの演説シーンというのは、心に刺さってしまう。ラスト、刹那に移り変わる各キャラのカットは、まさしくユウナの記憶を過った大切な思い出であり、何物にも勝るものであろう。しかし、良くても悪くても時間を戻すことが出来ない、という事を端的かつ最大限に物語ってしまっているシーンだろう。

X-2の話をする気はない。特別、悪いとは思わないが、Xのラストでプレイヤーの頭の中は間違いなく止まっているであろう。なので、その話をするのは無粋というものである、と思う。

いつだって過去は美化され、思い出として現実の自身に立ちはだかってくる。それは何もゲームの中だけではない。「私達、思い出に負けたの……?」と言ったのは誰であっただろうか。いつだって僕たちは僕たちの思い出に押し潰されそうになりながらも息をしなければならない。

ユウナ達はあの物語の先に何を見つけ、どこへ向かうのだろうか。

かけがえのない拠り所を夢―しかし間違いなく踏みしめた日々だ―とした時、その人間の真価が発揮されるのか。

もしそれが、間違いのない、歩むべき道であれば、それはきっと幸せなことなのだと思う。